影と闇
ドアの前を開けた男性が怖いけど、ここまで来た理由を伝えなければならない。


私が視線をそらしたとき、男性が体をよけて声をあげた。


「……入っていいよ」


「えっ、いいんですか⁉︎」


正直、入れさせてもらえないと思っていた。


「あぁ。あんた、末那の友達なんだろ? だったら、会わせないわけにはいかねぇよ」


「あ……ありがとうございます……」


この人、優しいな。


見た目はヤンキーっぽいから性格が悪いのかと思っていたけど、違うのかな。


男性に頭をさげ、中に入った。


先に靴を脱いで奥へと進んでいく男性の背中を追うように、私も靴を脱ぐなり奥に進んだ。
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