影と闇
疑問に思ってマサヤさんの顔を見つめていると、誰かが階段を下りる音がした。


そして、階段を下りた人物は私の姿を見るなり、顔を真っ赤に染めた。


「来やがったな、裏切り者……!」


うなり声のような低い声で私を威嚇している。


マサヤさんが鋭い目つきでその人物を睨んだ。


「おい末那、友達に失礼だろ」


その人物とは、末那だった。


末那は目の下に濃いクマを作っており、肉食獣のような鋭い視線を私に向けている。


顔にはシワやニキビができていて、私と同い年には見えない。


もう、修学旅行以前の末那じゃない。
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