影と闇
末那の言葉に圧倒されないように、マサヤさんが末那に怒る。


しかし、怒ったことが末那をさらに刺激させたのか、末那が手を強く振り払い、マサヤさんを睨みつけた。


「お兄ちゃんづらすんなよ! もういい、こうなったら……!」


そこまで言ったところで、末那は姿を消した。


「どこに行くの、末那!」


「おい、末那!」


私とマサヤさんが呼んでも、末那はこちらに来ようとしない。


お願いだから、こっちに来てよ……。


心の中でそうつぶやいたそのとき。


マサヤさんがにおいを嗅ぎはじめた。


「なんか、におわねぇか?」
< 309 / 376 >

この作品をシェア

pagetop