影と闇
この姿を見て、なにをしているのか想像するなと言われたほうが逆に無理だろう。


私がそう思うくらいに、末那の表情はバレバレだった。


早く言ってという気持ちをおさえてから数十秒後、やっとで末那が口を開いた。


「えっと、えっとね、恥ずかしいから大声では言えないけど……」


恥ずかしいと言いながらも、末那の口角は若干上がっている。


そういうところも変わってない。


恥ずかしいという気持ちよりもワクワクという気持ちのほうが大きいことがわかる。


「じ、じつは私、好きな人見つけたの……」


目線をゆっくりと横に向けながら嬉しそうに言う末那の言葉に、思わず目を見開いた。


「えぇっ、好きな人見つけたの⁉︎」


「茅乃ちゃん、しーっ!」


驚きが最優先したせいで声を大きく出してしまい、案の定末那に口を人さし指でふさがれた。


屋上には私たち以外誰もいないけど、そのぶん声が響きやすいので、ここに誰もいなくても声だけで会話の内容が他の生徒にバレてしまう。


でも、今の末那の発言はびっくりという言葉以外考えられない。
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