影と闇
無意識にそう言ってしまった。


いくら驚きが最優先しているとはいえ、こんなことを親友にぶつけてしまう自分がバカだと思った。


親友に病気なのかとか熱があるのかとか、私はあまり聞くべきではないと思っているのだ。


でも、心の底から思っていたことだったから、言わずにはいられなかった。


心の中でそうつぶやく私にまったく気づくことなく、末那が再び頬をピンクに染めた。


「え……まぁ、そうかな。よくわからないけど、恋の病にかかってるのかも……」


恋の病か。


それはまるで病気であることを否定しないような答えだった。


末那の答えも病気のひとつなのかと思うと、世界にはどのくらいの数の病気があるだろうと想像してしまう。


だけどその恋の病は、女の子をきれいにすると噂で聞いたことがある。


末那はもともと顔立ちが整っているし可愛いから、恋しなくてもいいんじゃないかと思うけど。


もちろん私に末那の恋を止める権利はないので、本人の前では言わない。


そこまでつぶやいたところで、末那が私の肩をポンポンと叩いた。
< 33 / 376 >

この作品をシェア

pagetop