影と闇
そんなもの、一生わかりたくない。


人を傷つけても、なにもいいことは起こらない。


ただ自分が悪に染められていくだけ。


でも末那は、完全に悪に染められたんだ。


こうなったら、もう末那を助けられない。


「あーあ。自分に火だるまになるなら、幼稚園のとき他の園児を殴らなきゃよかった。小学生のときに好きだった男子の妹をナイフで刺すことも、赤ん坊をトラックにひかせて殺すことも、両親を溺死させることも、しなきゃよかった」


「…………」


「自分の気持ちをおさえていたら、少なくともこんな結果にはなっていなかっただろうね」


「…………」
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