影と闇
「私もそうだけど、茅乃ちゃんも17歳になるよね? だったら高校卒業する前に恋したほうがいいよ。私が言うんだから絶対にしなよ!」


ここまで積極的に恋愛をすすめるとは、やっぱり今日の末那はいつもと違う。


でも、私には好きな人がいないから、恋の仕方というものがイマイチわからない。


そう思ったとき、ある会話が脳内で再生された。


『私たちと同じ学年で沖田くんっているじゃん』


『へ……? あ、うん、いるね』


『じつはさ、その沖田くん……この学校に好きな人がいるらしいよ!』


数日前に第2化学室で蘭子に聞かされた話がよみがえってきた。


女子の間で『顔も性格もイケメン』と言われている沖田くんに好きな人がいる、と。


私たちの学年で、男子に一番モテると言われている末那が恋をしたと聞いた瞬間、その会話が脳内に降ってきた。


数日前の蘭子との会話が頭の中にインプットされたせいか、こう思ってしまった。


沖田くんと末那は両想いではないかと。


好きな人が誰かとはふたりとも言っていないが、もしかしたら相思相愛かなと思ってしまった。
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