影と闇
私がどんな姿になっても、末那に心の底から親友だと思わせることはできなかった。


だけど……。


心の中でそうつぶやいたとき、私は微笑んでいる末那の前に手を差しだした。


私の手が目の前に現れたことで、末那が笑うのをやめた。


少し戸惑っている表情で私を見ている。


「な、なに?」


「親友だとは思ってないなら、一からやり直そうよ。今なら末那と仲直りできそうな気がする」


「えっ……」


包帯だらけの顔が、私をじっと見ている。


そんな末那の顔を見ても、私は表情を崩さない。


ねぇ、末那。


親友になれないなら、友達になろうよ。
< 348 / 376 >

この作品をシェア

pagetop