影と闇
私の視界に沖田くんの姿が映ったと同時に、末那が慌てて目をそらした。


さっきまで私に見せていた不敵な笑みが、まるで嘘のようだ。


「沖田くん、どうしてここに……?」


まばたきをしながら私が問いかける。


沖田くんはすぐに答えてくれた。


「茅乃と一緒に帰ろうと思ったけど、茅乃のクラス担任の先生に、芦谷さんのところにいるって聞いて……芦谷さんが入院してる病院と病室を教えてもらったんだ」


それで、ここまで来たんだ。


「ごめんね、茅乃。すぐに来られなくて」


そう言って、沖田くんは私を優しく抱きしめる。
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