影と闇
体がすっぽりと沖田くんの腕におさまり、あたたかさを感じる。


涙が出そうだ。


目から涙が出てきそうになったそのとき、末那がベッドのシーツからナイフを取りだした。


いつの間にそんなものを……?


「ま、末那……?」


私が声をあげたことで、沖田くんが末那のほうに視線を向ける。


「芦谷さん、なにしてるの?」


「わかんない? 茅乃ちゃんは私の最大の敵なのよ。だから、消えてもらおうと思って」


末那……私を殺すことをあきらめてなかったの?


「ふふっ……ふふふっ……」


不気味に笑う末那を見て、私は震えが止まらなくなった。
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