影と闇
いまだに体を震わせている私に、末那が手を伸ばしてくる。


「や……っ!」


ギュッと目をつぶって、末那から離れる。


それと同時に、沖田くんからも離れた。


包帯だらけの手が、私を捕まえようと必死になっている。


私は、その手に捕まらないよう、必死に逃げまわっている。


だが、ここは病室だ。


学校より狭いし、なにより逃げ場がない。


末那の手が私の腕を捕まえるまで、そんなに時間はかからなかった。


ガシッと包帯だらけの手が私の腕を掴み、自分のほうに引き寄せてくる。


「ま、末那……痛い! やめて!」
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