影と闇
しかし、末那は静かになろうとせず、私の腕を引っ張り続ける。


「うるさい! 私は茅乃ちゃんが許せないの! だから殺すのよ!」


「茅乃を殺すな! 殺したら殺人罪で警察に捕まるぞ!」


「そんなの私には関係ないわ! 捕まっても、私の心の傷は癒えるのよ!」


「誰かを殺したって、自分の心の傷が癒えるわけないだろ!」


血走った目で叫ぶ末那の言葉に対抗するように、険しい表情で言い返す沖田くん。


その直後、末那が私の腕を掴んだまま、突然黙り込んだ。


どうしたんだろう。


「ま、末那……?」


おそるおそる末那に視線を向ける。
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