影と闇
末那が呆然としたのを確認したあと、私は視線を沖田くんに向けた。


「ねぇ、沖田くん」


「な、なに?」


若干怯えを含んでいる瞳が、私に向けられた。


「沖田くんが好きなのは、末那じゃなくて私だよね」


そう言った瞬間、顔が熱くなるのを感じた。


自分で質問しておいて、恥ずかしい。


でも、末那にわからせてあげないと、私の気が済まない。


案の定、沖田くんは数回まばたきをしたあと、顔を赤くしながらうなずいた。


「……うん。俺は茅乃が好き。この気持ちは誰にも負けない」


沖田くん……ありがとう。


沖田くんなら、そう言ってくれると思ったよ。
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