影と闇
末那。


沖田くんの気持ち、伝わったでしょ?


私と沖田くんは両想いなんだ。


だから、沖田くんのことはもうあきらめて。


心の中でそうつぶやいた直後、末那が勢いよく顔をあげて私を睨みつけた。


まさか末那が睨んでくるとは思っていなくて、体を震わせる私。


「許さない……」


焼けてしまった唇が、低い声を発した。


全身が包帯で包まれているのと相まって、怖い雰囲気を醸しだしている。


「あんたを絶対に許さない……」


また低い声を発した末那。


末那の言う“あんた”というのは、私のことなのだろう。
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