影と闇
睨みつけているのは私のほうだから、それは間違いない。


許さない……って、なにを?


もしかして、私が沖田くんと付き合ってること、まだ許せないの?


そうだったらごめん。


末那から好きな人を奪おうなんて、思わなかったのに……。


「ねぇ、末那……」


「なに?」


充血した目を見開き、視線を私に向ける末那。


それと同時に、持っているナイフを私の前に突きだした。


刃先が鼻の真正面に向けられ、ごくっと唾を飲み込む。


そのせいで、声が震えた。


「許さないって、なにを? 私のどんなことが許せないの?」
< 362 / 376 >

この作品をシェア

pagetop