影と闇
私も人のことは言えないんだけど。


この高校の修学旅行は毎年、2年生全員が遠い場所まで行ってそれについての学習をするものとなっている。


2年生になってからの一番の楽しみは修学旅行であると言っても過言ではない。


文化祭ももちろん楽しみだけど、やっぱり一番は修学旅行だと断言する生徒がほとんどなのだ。


クラスメイトたちが嬉しそうに話しているのを尻目に、先生が教壇に置いた白い箱を手に取った。


それと同時に6限のはじまりのチャイムが教室内に鳴り響いた。


「今から修学旅行のグループを決めようと思う。当日はグループ行動がメインになるからな。そこでこの箱の中に入ってるくじを引いてグループ決めをする。いいな?」


グループ行動か。


そのことは予想していたけど、友達同士でグループを作るのかとばかり思っていたから意外だ。


私がそう思ったと同時に蘭子が立ちあがって手をあげた。


「ねぇ、せっかち先生。私たち、仲よしなグループを作りたいんですけど」


今まさに私が思っていたことそのままの発言だ。


それに対して先生は首を横に振った。


「ダメだ。鹿目たちはよくても、他のみんなにとっては不公平になる。ちゃんと公平になるようにくじ引きをするんだぞ」


先生の言葉には拒否を許さない雰囲気があった。
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