影と闇
「ねぇ蘭子、いつまで茅乃に抱きついてんの? てか、なんで抱きついてるの」


蘭子といつも一緒に行動している子だ。


彼女の声で蘭子は我に返ったようで、焦った様子で私から少し離れた。


「あぁ、アヤネ。私、茅乃と同じグループになったの! 超嬉しくて!」


どうやら私と蘭子の会話は彼女には聞こえていなかったらしい。


蘭子にアヤネと呼ばれたその子は純粋な笑顔を私たちに見せた。


「マジで? 蘭子と茅乃が修学旅行でのグループ一緒になったの? すごすぎ、本当にラッキーだね」


「そういうアヤネは何グループだったの?」


さっきまでの笑顔が嘘だったかのように、蘭子がニヤニヤと不敵な笑みを浮かべた。


しかし、蘭子とずっと一緒にいて対応に慣れているのか、アヤネはとくに動揺もすることなく問いかけにすぐ答えた。


「私が引いたくじには6グループって書いてあったよ」


アヤネの答えに、蘭子はさみしそうな顔をした。


「そっか、残念。私と茅乃は5グループだったから離れちゃったよ」


「でもそれで友情が簡単に壊れるわけないじゃん」


「そうね。私たちの友情は永久に不滅だもんね」
< 42 / 376 >

この作品をシェア

pagetop