影と闇
そうかな。


もし本当にそうなら嬉しいけど、すぐに末那の姿が頭に浮かんだ。


蘭子と固い絆で結ばれているのは嬉しいけど、逆に末那との友情はすぐ壊れちゃうんでしょ、と言われているみたいで、すぐには反応できなかった。


末那は、私を本当の意味で親友だと思っているのかな。


心の中でボソッとつぶやきながら再び末那のうしろ姿に視線を向ける。


末那は私に視線を送られていることなど気づいてないようで、あたりを見まわしている。


どうして?


見まわしている理由が私を探しているからというのなら、私はここにいるのに。


どうしていいのかわからないような彼女の行動は、不審者と思われてもおかしくない。


不審者というより、怖い。


唯一無二の親友に恐怖心を抱いたのは、1週間前にサスペンスドラマを観たせいだろうか。


私が観ていたドラマは、優しくて明るい性格の人がじつは犯人だったという結末が多かった。


でも今は違う。


当たり前だけど、今見ている風景はドラマなんかじゃない。
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