影と闇
私がびっくりして彼女のほうを無意識に見てしまったのは、彼女が私のことを呼び捨てで呼んだからだった。
驚いたのは私だけではなかった。
「え、マジ? 片桐と阪口が……」
「仲よくなってる……?」
同じグループの男子ふたりも私と彼女の話をまったく聞いていなかったらしく、パチパチと目をしばたたかせている。
蘭子もしばらくポカンとしていたが、やがて自慢げな笑顔を見せる。
「ほら、私が言ったとおり、茅乃はおもしろいでしょ。自分のこと地味だ地味だって言ってもね、おもしろいものはおもしろいの。ねぇ、阪口」
「うん。茅乃はまだ本当の自分に気づいてないだけだよ。もっと自分に自信を持ったほうがいいよ」
なぜか私がアドバイスされる側になった。
もっと自分に自信を持てと言われても。
それに関してはなんて答えたらいいのかわからないのでスルーして、こう言った。
「おもしろいかな? 私、自分をおもしろい人だって思ったこと一度もないよ」
おもしろいと思ったどころか、地味でつまらない人間だと思っている。
困ったように首をかしげると、蘭子と理子ちゃんが同時に私の肩を思いっきり叩いて笑った。
驚いたのは私だけではなかった。
「え、マジ? 片桐と阪口が……」
「仲よくなってる……?」
同じグループの男子ふたりも私と彼女の話をまったく聞いていなかったらしく、パチパチと目をしばたたかせている。
蘭子もしばらくポカンとしていたが、やがて自慢げな笑顔を見せる。
「ほら、私が言ったとおり、茅乃はおもしろいでしょ。自分のこと地味だ地味だって言ってもね、おもしろいものはおもしろいの。ねぇ、阪口」
「うん。茅乃はまだ本当の自分に気づいてないだけだよ。もっと自分に自信を持ったほうがいいよ」
なぜか私がアドバイスされる側になった。
もっと自分に自信を持てと言われても。
それに関してはなんて答えたらいいのかわからないのでスルーして、こう言った。
「おもしろいかな? 私、自分をおもしろい人だって思ったこと一度もないよ」
おもしろいと思ったどころか、地味でつまらない人間だと思っている。
困ったように首をかしげると、蘭子と理子ちゃんが同時に私の肩を思いっきり叩いて笑った。