影と闇
私は蘭子とは正反対なんだ、とあらためて思わせる瞬間だ。


グループのメンバーがひとりずつなにかを提案していくのをぼんやりと見ても、誰も気づいたり注意したりしない。


いいんだ、こうなることはすでに予想したことだから。


誰も気づかないならどこを見ていてもいいのかなと思い、頬杖をついて背を向けていた窓を見つめると、蘭子が私に話しかけてきた。


「ねぇ、茅乃。みんなはここがいいって言ってるんだけど……って、茅乃ー?」


蘭子の声で意識が現実に引き戻される。


気づくと、他のメンバー全員が私を眺めるように見つめていた。


なんか恥ずかしいんだけど。


頬が熱くなるのを感じ、意味もなく両手をいじりはじめた。


「ごめん、蘭子。私、ボーッとしちゃって聞いてなかったみたい。今、なんて話してたの?」


うつむきながらつぶやいたせいか、自分でも声がよく聞き取れない。


だけど蘭子たちにはちゃんと聞こえていたようで、蘭子は「そっかー」とつぶやいた。


「ごめん、私が茅乃をそっちのけにして話に夢中になってたんだね」

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