影と闇

このまま


修学旅行を5日前に控えたある日。


この日は学校が休みだったので、家でゆっくり過ごしていた。


だけど実際はそんなにゆっくりしていたわけではなく、家事をしなければならないため、わりと体を動かしていた。


理由はただ単に誰も家にいないから。


お父さんは私が小学生のときに交通事故で亡くなり、お母さんは仕事の都合で海外で過ごしている。


もの心ついたころから私は家事をそつなくこなしていた。


この生活に慣れているとはいえ、忙しい。


学校に行かなければならない日は朝早くに起きてやらなきゃいけないし、帰ってからも残った家事を片づけなければならないのだ。


たまに心配して家の様子を見にきてくれる叔母さんが家事を手伝ったりすることもあるけど、たいがいは自分ひとりでやっている。


叔母さんはお父さんの妹で、お父さんが死んだあとからお母さんと私があと追い自殺をするのではないかという理由で家にやってくるようになった。


叔母さんが来るようになってから、急にお母さんが海外で仕事をしなければならなくなったという話を聞いた。


それ以来、家では私ひとりとなった。


私としては、大人数よりもひとりのほうが落ち着くから好きだ。


だけど、さみしさが込みあがってくるのも事実だ。
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