影と闇
しばらく待って、店員さんからワンピース2着とパンプスが入ったショップ袋を受け取る。


店員さんが「ありがとうございました」と笑顔で言われたと同時に、末那に再び肩を叩かれた。


「やったね、茅乃ちゃん。はじめてのショッピング、大成功だよ!」


まるで自分のことのようにハイテンションの末那。


さらにそう言ったあと、末那がウインクをしてきたので、思わずドキッとしてしまった。


私が男子なら、間違いなく末那にほれるだろう。


末那が男子でも私はほれている。


相手は同性の親友なのに、こんなにドキドキしちゃうなんて。


私は少しおかしいかもしれない。


それよりも、最初は末那のショッピングに付き合うことが目的だったのに、いつの間にか私のショッピングに末那が付き合っているということになっていた。


それに気づかない末那は、いったいなにを考えているんだろう。


心の中でぶつぶつとつぶやいていたせいなのか、末那がギョッと目を見開いた。


「どうしたの、怖い顔しちゃって……」


末那のびっくり顔を見るのは本日二度目。


驚いた顔を見るのははじめてではないはずなのに、私もびっくりするのはどうしてだろう。


そのことは今考えなくてもいいよね。


そう思いながら、末那に曖昧な笑顔を向けた。
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