影と闇
えっ、“第2化学室”?


そこまで来て、蘭子はいったいなにを話したいと言うのか。


私の心のつぶやきなど当然のようにスルーしてグイグイと私の手を引っ張る蘭子。


奥のほうまで来たところで蘭子が私の手を離した。


「蘭子、私に話があるって言ってたけど……」


蘭子の顔を見るのが怖くて、話しかけるときに声を震わせてしまった。


もし私が末那だったら蘭子たちにゲラゲラ笑われたかもしれないけど、私に限ってそんなことはしないはず。


ドクンドクンとうるさい音を立てはじめる心臓を一生懸命おさえていると、蘭子がくるっとこちらを向いた。


「あのさ、茅乃……」


まるでホラー話を聞かせるような顔で、私の両肩に手を置く蘭子。


なに?


蘭子にもなにかあったのかな。


「……どうしたの?」


おそるおそる首をかしげる。


すると蘭子の目が大きく見開いた。


「やばいよ、私、貴重な情報を手に入れたよ‼︎」


貴重な情報?


どんな情報?


誰から聞いたの?


すぐに疑問が出たが、蘭子に体を揺すられているせいで言葉が出ない。
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