影と闇
中学時代の彼女は今よりずっと目立たなかった。


地味な私が言うのもなんだけど、中学時代のミカは私と同じくらい地味だった。


校則はきちんと守っていたし、誰かがいてくれないとちゃんと行動しなかった。


私とは趣味も好みもほとんど同じだったから、今以上に安心していたんだ。


だけど今の彼女は、中学時代の面影などひとつも見あたらない。


無頓着だった髪は茶色に染められていて、まるで明るい雰囲気に包まれたかのようだ。


もともとスタイルがよかったミカが性格の明るさを手に入れたら右に出る者は誰もいないくらい、きれいになっていた。


私の周りにいる友達はみんな明るい子ばかりだから、逆に私が浮いて見える。


そう思いながらチラッと末那のほうを見てみると、なぜか両手を前でいじりはじめた。


ひとりだけ蚊帳の外にいるから、なんて話しかけたらいいのかわからないみたいだ。


末那も遠慮なくミカに話しかけてもいいのに。


じっと末那を見つめていたら、末那がそれに気づいたらしく、ダッと逃げるように走ってしまった。


余計なお世話だったかな。


少し名残惜しさを感じつつ、小さな豆粒のようになっていく末那のうしろ姿をぼんやりと見送る。
< 81 / 376 >

この作品をシェア

pagetop