影と闇
ここに集合している２年生のほとんどが、その主任の先生の挨拶を元気な言葉で返す。


先ほどまで笑っていた蘭子と理子ちゃんも明るい笑顔で「おはようございます！」と返事をする。


でも、私はその挨拶を返せなかった。


先生たちが集合場所に来ても、末那は現れない。


私が抱いていた疑問を見透かしたかのように、担任の先生が少しだけ目を見開いて私のほうを見た。


「……ん？」


どうやら末那が来ていないことに気づいたらしい。


末那はいつも私の隣にくっついているから、私のところにいると思ったのだろう。


先生の表情に気づいた数人の生徒が笑顔を消して私に視線を向ける。


「おい片桐、芦谷はどうしたんだ？」


末那の名前を口にした先生の言葉で、蘭子が眉をぴくっと動かす。


しかし、２年生全員がいるせいか自分の感情をここで爆発させることはないようだ。


そのことにほっと胸を撫でおろし、視線を浴びながら言葉を返す。


「末那はまだ来てないです。連絡もないです」


先生に向かってそう言ったあと、スマホを取りだして末那に電話をかけるが、出られない状態なのかまったく出ない。


おかしい。


昨日の夜電話したときにはすぐに出てくれたのに。
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