影と闇
私が昨夜電話したとき、末那はこう言っていた。
『茅乃ちゃんとは違うグループでさみしいけど、修学旅行は一緒に楽しもうね!』
修学旅行のグループ決めをした日にした行動がまるで嘘だったかのような、憎しみなど微塵も感じさせない明るい声。
鋭い視線を向けられたときは怖かったけど、電話で末那と話していたときには違うグループになったから同じグループになった蘭子たちに嫉妬しているのかなと思っていた。
不思議に思いつつもスマホから耳を離し、電話をかけるのをやめた。
通話終了のボタンをタップしたのを見たらしい理子ちゃんが目立つくらいに大きくジャンプしながら先生に報告する。
「先生。芦谷さん、電話に出ないみたいですよ? どうするんですか?」
「そうだよ、先生! なにか理由があって行けないわけじゃないんですよね?」
相当イライラしているのか、わざとらしいほどの大声で理子ちゃんの言葉に同意を示す蘭子。
ふたりの言葉で、私のほうを見ていたみんなもザワザワと騒ぎはじめる。
「そうだよね。芦谷さんって修学旅行の参加をキャンセルしたわけじゃないもんね」
「もし参加しないなら、学校にもう連絡しているだろうしね」
「じゃあなんで来ないんだろう」
「たしかに……」
「もしかして、集合場所を間違えたりして」
「それなら納得。学年全体で修学旅行についての話をしたとき、芦谷さんいなかったからね」
『茅乃ちゃんとは違うグループでさみしいけど、修学旅行は一緒に楽しもうね!』
修学旅行のグループ決めをした日にした行動がまるで嘘だったかのような、憎しみなど微塵も感じさせない明るい声。
鋭い視線を向けられたときは怖かったけど、電話で末那と話していたときには違うグループになったから同じグループになった蘭子たちに嫉妬しているのかなと思っていた。
不思議に思いつつもスマホから耳を離し、電話をかけるのをやめた。
通話終了のボタンをタップしたのを見たらしい理子ちゃんが目立つくらいに大きくジャンプしながら先生に報告する。
「先生。芦谷さん、電話に出ないみたいですよ? どうするんですか?」
「そうだよ、先生! なにか理由があって行けないわけじゃないんですよね?」
相当イライラしているのか、わざとらしいほどの大声で理子ちゃんの言葉に同意を示す蘭子。
ふたりの言葉で、私のほうを見ていたみんなもザワザワと騒ぎはじめる。
「そうだよね。芦谷さんって修学旅行の参加をキャンセルしたわけじゃないもんね」
「もし参加しないなら、学校にもう連絡しているだろうしね」
「じゃあなんで来ないんだろう」
「たしかに……」
「もしかして、集合場所を間違えたりして」
「それなら納得。学年全体で修学旅行についての話をしたとき、芦谷さんいなかったからね」