影と闇
誰かと一緒に話せば酔いはやってこないと思うけど、念のためだ。
握りしめていたスマホをカバンの中にしまい、窓から見える景色を無意識に眺める。
雲ひとつない青空が広がっており、太陽の光もほどよい加減で空を照らしている。
今の私の心とはかけ離れた景色に、思わずため息が出てしまう。
「あれ? 茅乃、ため息なんかついてどうしたの?」
隣から声がしてバッとそちらのほうを見てみると、そこには蘭子がいた。
赤いカラーコンタクトをしている大きな瞳に思わず吸い込まれそうになる。
しかし、すぐに我に返る。
「蘭子……」
蘭子を呼ぶ声がやけに小さく聞こえた。
それに若干震えていることにも気づいたが、蘭子の心配そうな顔を見たらなんだか言えなくて、スルーしてしまう。
「……茅乃、まだ芦谷のこと心配してるの?」
体を震わせて見る私の姿を視界に入れながらそう言う蘭子の表情が変わった気がした。
楽しみだった修学旅行を末那のことでつぶしたくないという気持ちが出ている感じだ。
こちらを睨むような鋭い目つきに、地の底まで響く低い声。
私が末那のことを考えているときはいつも不機嫌になる蘭子だけど、ここまで表情を変えることはしなかった。
私がそうだと答えて蘭子の機嫌を一気に悪くさせたら、グループ行動のときに誰かに怒りをぶつけて研修できなくなってしまうと思う。
握りしめていたスマホをカバンの中にしまい、窓から見える景色を無意識に眺める。
雲ひとつない青空が広がっており、太陽の光もほどよい加減で空を照らしている。
今の私の心とはかけ離れた景色に、思わずため息が出てしまう。
「あれ? 茅乃、ため息なんかついてどうしたの?」
隣から声がしてバッとそちらのほうを見てみると、そこには蘭子がいた。
赤いカラーコンタクトをしている大きな瞳に思わず吸い込まれそうになる。
しかし、すぐに我に返る。
「蘭子……」
蘭子を呼ぶ声がやけに小さく聞こえた。
それに若干震えていることにも気づいたが、蘭子の心配そうな顔を見たらなんだか言えなくて、スルーしてしまう。
「……茅乃、まだ芦谷のこと心配してるの?」
体を震わせて見る私の姿を視界に入れながらそう言う蘭子の表情が変わった気がした。
楽しみだった修学旅行を末那のことでつぶしたくないという気持ちが出ている感じだ。
こちらを睨むような鋭い目つきに、地の底まで響く低い声。
私が末那のことを考えているときはいつも不機嫌になる蘭子だけど、ここまで表情を変えることはしなかった。
私がそうだと答えて蘭子の機嫌を一気に悪くさせたら、グループ行動のときに誰かに怒りをぶつけて研修できなくなってしまうと思う。