不完全美学
普段なら。
普段のあたしなら「なによー!」とか言って凪に反抗するんだろう。
だけど今のあたしには、そんな力は残ってない。
「も……やだ。あたし、どうすれば良いの」
力無いあたしの言葉はポトンと床に落ちた。
そんな情けないあたしに、凪は言う。
「頑張れ」
あたしはまたキッと睨む。
「その言葉は嫌いだってば!」
あたしは「頑張れ」が嫌い。
そんな投げっぱなしな言葉で人を励ませるなんて思えない。