不完全美学

凪の、細くてまるで木の枝みたいに節のある指があたしに触れる。

不意に思った。
凪に触れられるのはこれが初めてだって。

変に身体に力が入っちゃって何も言えないあたし。

凪はじっとあたしを見てる。


「不細工だな」

「はぁ?」


あたしは若干、いやかなりイラッとした。

悪いけど不細工だなんて生まれて初めて言われた。


「不細工で、綺麗だ」


あたしは頭に疑問符を浮かべずにいられない。

凪は続ける。
うっかりしてたら聞き逃すくらいの、独り言みたいに。


「傷とか影とか、持ってるものの方が綺麗なのかもしれないな」
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