不完全美学

放課後何もすることがなかったあたしは彼氏を呼んだ。

彼がよく行くカフェで、あたしはパンケーキを食べる。

また、あたしの病気が発症する。


「ねぇ、別れようか」


何気ないトーンで言うあたし。
「これ美味しいね」とか言うくらいのさりげなさで。

目の前の彼氏はただ呆然としている。

顔は格好イイし、優しい。
別に飽きた訳でもない。

それでもあたしは終止符を打ってしまった。


「本気?」

「ごめんね」

「そっか……」


沈んでゆく彼氏を見ているとチクチクと胸は痛かったけど、取り消しはしなかった。
< 113 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop