不完全美学
翌日からあたしの退屈な日々が始まった。
美術室に行けない放課後は、本当に退屈で。
たまに真弓と遊ぶくらいで、たいていは教室でぼんやりとやり過ごす。
新しく彼氏を作ろうともしなかった。
だって一緒に居たい奴なんて居なかったし、不思議と誰のことも欲しくなかったから。
「男を欲しがらない葉月なんて葉月じゃないみたい」
真弓はあたしに楽しそうにそう言った。
大きなお世話だよとあたしも笑っていたけど、自分でも不思議だった。