不完全美学

秋風が頬を突き刺すものだから、真弓は顔をしかめて教室の窓を閉める。

この日は淳司君が日直で遅くなるらしく、その時間まであたしは真弓と待つことにした。


「ごめんね、付き合わせて」


真弓が寒そうに両腕をこすりながら言う。


「あたし暇だからちょうど良いよ」


あたしはそう言って笑った。
真弓はなんだか少し真面目な顔になり、あたしの目を見る。


「私が一緒に居られない時、葉月はどうやって過ごしてるの?」


その質問にあたしは少し考える。

そうして一人で教室に残る放課後のあたしを思い描く。
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