不完全美学

「考え事かな」


考え込むのが嫌いなあたしがそんな事を言うから、真弓は驚いたに違いない。


「何を考えるの?」


あたしが一人で考えるまとまりのない内容を伝えることは難しい。

だけどいつもメインテーマは大きく分けて二つだ。


「一つはあたしが男を欲しがらなくなった理由」


真弓は納得したみたいに頷く。
きっと真弓もそのことは気になっているはず。


「理由は分かった?」


あたしは首を小さく横に振る。


「まだ分からないな」

「そう……。他には何を考えるの?」


あたしはさっき真弓が閉めた窓の外を見る。
今日は風が強い。
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