不完全美学
あたしが男と過ごさなくなってから、お気に入りの時間の過ごし方が出来た。
一人で考え事をする時はもちろん。退屈な授業中や帰り道でも、あたしはその過ごし方をする。
「凪が描いてる絵を想像するんだ」
凪がコンクールに向けて描いてる絵。
気になるあたしに凪は何も教えてくれなかったから。
色や、モチーフや、構図をあたしの中で想像する。
それはあたしには結構楽しい作業だった。
「気になるんだ?」
真弓が悪戯っぽく笑う。