不完全美学
席を代わろうか、とも思ったけれど。
やめた。
あたしのお気に入りの過ごし方、凪の絵を想像するには良いポジションだから。
あたしは美術室の方をぼんやりと眺める。
お気に入りの過ごし方をしながら。
するとしばらくして美術室の窓が開き、チラッと栗色の髪が見えた。
凪だ。
部屋の換気でもしてるのかな。
凪を見たのはとても久しぶりな気がした。
絵ははかどっているのかな。
何を描いてるのかな。
「描けない」と愚痴ってた凪が「描きたい」と言ったもの。
それが凄く気になる。