不完全美学
風が冷たい。
愛用の真っ白いマフラーが手放せなくなってきた。
こんな日も凪はいちごみるくなんだろうか。
美術室に行かなくなってから随分と日が経った。
凪の絵はもう出来たのかな。
もうコンクールへの出品が済んでいてもいい頃だ。
美術室に行きたい。
ううん、行くわけにいかない。
あたしの気持ちはそんな感じで堂々めぐりだ。
暖房で温められた図書室であたしは一人悶々とする。
答えが出せなくて結局何もしないまま帰る。
そんな日々がまたしばらく続いた。