不完全美学

風が冷たい。
愛用の真っ白いマフラーが手放せなくなってきた。

こんな日も凪はいちごみるくなんだろうか。


美術室に行かなくなってから随分と日が経った。

凪の絵はもう出来たのかな。

もうコンクールへの出品が済んでいてもいい頃だ。


美術室に行きたい。
ううん、行くわけにいかない。

あたしの気持ちはそんな感じで堂々めぐりだ。


暖房で温められた図書室であたしは一人悶々とする。

答えが出せなくて結局何もしないまま帰る。

そんな日々がまたしばらく続いた。
< 129 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop