不完全美学
久しぶりの美術室。
あたしは少しワクワクしている。
凪に会うのも久しぶりだったけれど、遠くから見てたからそんな感じがしない。
瞬間、あたしは顔がカッと熱くなるのが分かった。
あたし、凪のことばっかり考えてたんじゃん。
うわ、やだ。
こんなのまるで恋する乙女みたいじゃん。
だけど凪と離れている間にあたしが凪に関することを考えていた時間は確か。
その時間の内にあたしは、凪がいちごみるくを好きなことを知った。
図書室から美術室が見えることを知った。
凪が柑橘系の匂いをさせていることを知った。