不完全美学
いつだったか真弓が言っていた。
『毎日新しい淳司を見付ける』
それが飽きない理由だって。
あたし、凪のことを考えるのは飽きなかった。
凪の描いている絵を想像するのが楽しかった。
立ち尽くすあたしに構う様子もなく、凪は椅子に座って画用紙を取り出す。
鉛筆をサラサラと動かして何か描いている様子の凪。
あ、ちょっと猫背だ。
鉛筆の持ち方、超キレイ。
ハッとする。
あたしは観察日記レベルで凪のことを見ちゃってる。
どうしよう、わかんないよ。
これが“恋”なのかもしれない。