不完全美学
しばらくの沈黙の後、北澤君はフンと鼻で笑った。
「そんなんで男はオチるわけ?悪いけど興味ない」
北澤君はあたしの手を冷静に離し、また絵の具を出し始める。
あたしは予想外の出来事にぽかんとしてしまった。
自慢じゃないけど、たいていの男はすぐにオチる。
ニキビ一つない真っ白な肌や、ぱっちりした甘え気味な瞳を嫌いな男なんて、そう居ない。
だけどこんなことで、あたしはめげない。
ここで引き下がったらあたしの負けだ。