不完全美学
放課後、ニタニタする真弓をあしらいながら美術室に向かう。
凪は今日は油絵をやるみたい。
美術部の顧問はコンクールの時期以外は放っておいてくれるから楽だと、凪は言う。
いつも通りの無表情だけど、自由に絵が描ける状況が凪はきっと嬉しいんだと思う。
独特の匂いと、強い粘りのある絵の具をいとも簡単に扱う凪。
その筆先がみるみる絵を作りあげる様子を見るのが楽しかった。
ぼんやりと眺めてると、周りの世界を遮断して、凪と絵とあたしだけの世界みたいに感じる。
今日の絵は青がベース。
落ち着く色使いだ。