不完全美学
片付け始める凪。
名残惜しいと感じる自分に気づく。
こういう何てことのない凪との時間が、あたしには心地良くて。
もう少し、もう少しだけ……
「ねぇ、凪……」
「なに?」
「……何でもない」
あたしはいびつな凪が描かれた画用紙をくるくると丸め、鞄に入れた。
夕方の空気はもう冷たい。
マフラーに首をすくめて歩くあたし。
凪も寒そうに顔を歪める。凪にもそんな人間味がある様子を見る度、あたしは楽しくなる。
寒いねーなんて言いながら歩く帰り道も、うん、悪くない。