不完全美学
あたしは真弓に正直に話すことにした。
ずっと凪を見てしまうこと。
凪にドキドキしたこと。
だけど好きかどうか、分からないこと。
真弓は真剣に聞いてくれた。
「あたし、凪をどう思ってるのかな」
あたしも真弓もなんとなく窓の外を見ていた。
風に乗って枯れ葉が横切る。
「今、男欲しくないの?」
真弓の質問にあたしは悩む。
今までは次々に欲しい男が現れて、次々に取り替えていた。
なのに今のあたしにはどんな男も魅力的じゃない。
「いらない」
「北澤君も?」
あたしは思わず言葉につまる。