不完全美学

突き刺すような冷たい風に眉を寄せながら、あたしはトボトボと歩く。


凪、変に思ったかなぁ。
だけどどうしようもない。

強めの風が吹き、あたしは髪をかばう。

すれ違った近隣高校の制服を着たカップルが、仲良さ気に寄り添った。

それを見てあたしは少し悔しくなる。


みんな上手に恋をする。

得意になっていたあたしは、今とても情けなくて。


カップルの背中にいくつもの疑問を投げかけた。

どうしたらそんなに笑い合える?

どうしたらそんなに触れ合える?

どうしたらそんなに表現できる?
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