不完全美学
会いたくない訳じゃない。
だって凪の居る美術室は、すごく居心地が良いから。
だけど凪の前でまた変に緊張してしまうのが嫌だった。
格好悪いと思った。
「もう行かない。普通にできるようになるまで会わないもん」
まるであたしは意地を張る子供みたいに、ぷいと顔を背けた。
真弓は半ば呆れたみたいに息を吐く。
「あれだけ男を振り回してた葉月がこんなになるなんてね」
それにはあたしも同感だ。
ほんとに信じられないし、なんだか納得いかない。
だけど実際こうなんだから、仕方ないんだ。