不完全美学

その日からあたしは美術室に行かなくなった。

だけど凪の様子は気になるもんだから、美術室のそばをウロウロしたりする。

真弓は気になるなら行きなよって言ったけど、やっぱりそれは出来なかった。


何を喋れば良いのか分からないから。

今までだってたいした会話はしていなかったけど。

だけどきっとあたしらしくは居れない。

自然で居ることがこんなにも難しいんだって、初めて知った。


図書室に見付けた特等席から美術室を見下ろす。

凪は今日もいちごみるくだ。
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