不完全美学
制服の上に羽織ったカーディガンの袖をこすりながら、窓の下を見下ろす。
ちょうど凪が美術室に向かう所だった。
美術室を見下ろしていても、凪を見られるのはたいてい換気する時や帰る時。
だから今日は運が良い。
……と思ったんだけど。
凪の後ろから女の子が駆け寄り、腕を取ったのが見えた。
背は高くなく、ピンク色のマフラーが印象的だった。
凪は相手にしていないみたいだったけど、振り払ったりもしなかった。
胃の上の方がモヤモヤする。
あたしが出来ないことを、なんでそんなに簡単にしちゃうの。