不完全美学
女の子は凪の腕を掴んだまま、美術室に入って行った。
コンクールが終わった今、美術室に居る部員はきっと凪一人。
つまり、今美術室には凪とあの女の子が二人きり。
込み上げてくる、居心地の悪い感情。
あたしの中の何かが叫ぶ。
そこはあたしの場所!
やめて!
とらないで!
だけどあたしはそんな叫びに耳を塞ぎ、机の上に突っ伏した。
モヤモヤとした気持ちを追い払いたくて、あたしは図書室を出て家へと駆け出した。