不完全美学

翌日あたしは授業を終えるなり教室を飛び出した。

そして美術室に向かう通路の途中にある女子トイレに入る。

ここのトイレを利用する生徒は少ないから、ずっと居ても目立たない。

あたしはそこでこっそりと凪を待伏せた。


しばらくすると二人分の足音と、嫌に耳につく高い声が聞こえてきた。


「待って下さいよ〜、北澤先輩」


トイレの個室から少し顔を覗かせると、昨日見たピンク色のマフラーが横切った。

あたしは静かに聞き耳をたてる。
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