不完全美学

「邪魔って何よ。あなただって同じじゃない」


梓はとんでもない、というような顔で答える。


「やだな、私は部員ですよ?」

「凪が目当てなんでしょ?」


美術室の薄暗さや匂いには慣れたはずだったけれど、梓が居ることでそれらが嫌に気にさわる。

梓はニッコリと嘘くさい笑みを浮かべた。


「目的はどうであれ、私はここに居る権利があります」


その時あたしに分かったことは、梓が凪を本気で狙ってるってこと。

そして、あたしはこいつが嫌いだってことだ。
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