不完全美学
そのままあたしは街に出る。
どうにかしてこのイライラを晴らしたかった。
だけどどうすれば良いか分からない。
狙ってたブーツ買っちゃおうかな。あ、今お金ないや。
周りを行き交う人達の笑顔が、なんだか悔しい。
あたしはまるでこの世界に置き去りにされたみたいに、寂しくて堪らなくなった。
あたし、一人だ。
やだな。
凪はまだあの子と居るのかな。
「ねぇ、暇してんの? 俺と遊ばない?」
あたしはもう男なんて要らない。
あたしが欲しいのは凪だけだ。
だけどあたしは、その手を取ってしまった。